株式投資が初めてで何をしたらよいかわからない、という方向けに今回は、アメリカの株式市場において最も人気のあるETFの一つであるVTI(Vanguard Total Stock Market ETF)投資について、解説します。
VTI投資の特徴やメリット、デメリット、投資方法などについて、詳しく説明していきます。
VTI投資とは何か
VTIの基本情報
VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)は、米国のバンガード社が提供する米国株式市場全体を対象とした上場投資信託(ETF)です。
VTIは、CRSP US Total Market Indexを追跡しています。
この指数は、米国株式市場全体をカバーし、主要な大型株式から中小型株式まで、様々な規模の企業を含んでいます。
以下は、VTIの基本情報です。
https://investor.vanguard.com/investment-products/etfs/profile/vti#overview
VTIは、米国株式市場全体を対象としているため、多様な銘柄が含まれています。
そのため、一定のリスクを分散でき、また市場全体の成長に連動して資産価値を増やすことが期待できます。
また、低コストで取引できるため、コスト効率的な投資を目指す投資家に適しています。
Vanguard社は、1975年に創設されたアメリカの投資信託会社であり、現在は世界中で1兆ドル以上の資産を管理しています。同社は、低コスト・インデックス投資を推進しており、その理念に基づいて、多くのETFやインデックスファンドを提供しています。
Vanguard社の最大の特徴は、低コストであることです。
同社は、投資家にとって最適な資産配分を行うための様々な投資商品を提供しており、その中には、株式、債券、金融商品、不動産投資信託(REITs)などがあります。
これらの商品は、インデックスに基づいたものが多く、低い運用コストと高い透明性が特徴です。
また、Vanguard社は、長期的な投資に焦点を当てています。
同社の投資家向けの情報提供においても、長期的な資産形成の重要性が強調されています。
VTIのパフォーマンス
VTIは、過去4~5年に1度のペースでマイナスリターンの年もありますが、プラスリターンの年は15%以上のリターンをあげる年も多いです。
VTIは、過去3年以上保有すると、年率11%~16%程度の年率リターンを平均してあげています。
https://myindex.jp/data_f.php?q=VTIJPY
VTIの構成銘柄上位20社
以下に、VTIの2023年2月時点での上位20銘柄とそれらの銘柄の投資割合を表にしました。
Apple、マイクロソフト、Amazon、Google、META、テスラ、ジョンソンエンドジョンソンなど、日本でもよく聞く会社名が上位を占めています。
企業の時価総額に合わせて投資割合を決めているので、上位の企業の投資割合が多くなります。
銘柄名 | 投資割合 |
Apple Inc. | 6.37% |
Microsoft Corporation | 5.72% |
Amazon.com Inc. | 4.18% |
Alphabet Inc. Class A | 2.94% |
Facebook Inc. Class A | 1.85% |
Tesla Inc. | 1.65% |
Johnson & Johnson | 1.62% |
Berkshire Hathaway Inc. Class B | 1.60% |
JPMorgan Chase & Co. | 1.54% |
Procter & Gamble Company | 1.52% |
Visa Inc. Class A | 1.51% |
NVIDIA Corporation | 1.50% |
Home Depot Inc. | 1.29% |
Walt Disney Company | 1.24% |
UnitedHealth Group Incorporated | 1.21% |
Mastercard Incorporated Class A | 1.16% |
PayPal Holdings Inc. | 1.07% |
Intel Corporation | 1.03% |
Verizon Communications Inc. | 0.94% |
AT&T Inc. | 0.91% |
なお、これらの割合は、VTIの総資産に占める各銘柄の割合を示しています。
また、上位20銘柄の割合合計は約40%であり、VTIが広範な分散投資を提供していることがわかります。
VTI投資のメリット
VTI投資には次のメリットがあります。
分散投資が可能
VTIは、アメリカの株式市場全体に分散投資するETFです。
つまり、アメリカの主要企業を含む約4000社の株式に投資することができます。
このように分散投資ができるため、投資リスクを分散しやすく、リターンの安定化が期待できます。
低コスト
VTIは、バンガード社が提供するETFの中でも、特に低コストであることが特徴です。
管理費用比率が非常に低く、投資家が受け取るリターンが高くなる可能性があります。
長期投資に向いている
VTIは、アメリカの主要企業を含む約4000社の株式に投資するため、単一企業や業界の株式に投資するよりも、投資リスクを分散しやすく、長期的な保有に向いています。
また、低コストであるため、長期的な保有による複利効果を期待できます。
市場規模が大きい
VTIは、アメリカ株式市場において最大規模のETFの一つであり、その規模は非常に大きくなっています。
このため、取引量が多く、流動性が高いという特徴があります。
VTIの市場規模は、時期によって異なりますが、以下は10年間(2012年〜2021年)の推移です。
市場規模は時価総額で表され、Vanguardのウェブサイトなどから取得できます。
https://www.teneopartners.co.jp/vanguard-etf/IR_FULL_VTI.pdf
この10年間で、VTIの市場規模は大きく拡大しており、特に2020年以降は急速な伸びを見せています。
VTIが代表する米国株式市場全体の成長を反映していると言えます。
VTI投資のデメリット
米国市場単一への投資(米国経済への依存が強い)
VTIは、アメリカの株式市場全体に分散投資するETFです。
つまり、アメリカの主要企業を含む約4000社の株式に投資することになります。
しかし、市場全体の動向に左右されるため、一定のリスクがあると言えます。
また、世界経済や政治情勢の変化によっても株式市場が影響を受けるため、これらの要因による影響も考慮する必要があります。
投資先を選択できない
VTIは、アメリカの主要企業を含む約4000社の株式に分散投資するETFであり、投資家は個別の企業や業界を選択することはできません。
そのため、投資家が特定の企業や業界に注目している場合は、自分でその企業や業界に投資する必要があります。
為替リスクがある
VTIは、アメリカの株式市場に投資するETFです。
そのため、日本円とアメリカドルの為替リスクがあります。
円高になると、ドル建ての資産の価値が下がり、逆に円安になると価値が上がるため、為替リスクには注意が必要です。
配当金が少ない
VTIは、株式市場全体に投資するため、分散投資先の企業がすべて配当金を出すわけではありません。
そのため、配当金が少ないことがあります。
ただし、長期投資の場合は、資産の価値が上がることによるキャピタルゲインが期待できるため、配当金が少なくても総収益に影響が少ないことがあります。
VTI投資の運用方法
VTIの購入方法・手数料
オンライン証券会社を通じて購入
オススメの証券会社は楽天証券か、SBI証券です。
購入時には、証券会社によって手数料が異なりますので、事前に確認が必要です。
投資信託を通じた投資
VTIは投資信託を通じて購入できます。
楽天証券では、楽天VTI、SBI証券ではSBI・VTIがあります。
投資信託は、日本国内で取引されているため、日本円で購入できるのが特徴です。
ただし、VTIと異なり投資を日本円で委託するため、運用手数料や為替リスクなどが異なりますので、事前に確認が必要です。
取引手数料
手数料については、VTIを購入する際にかかる手数料にはいくつかの種類があります。
主な手数料には以下のようなものがあります。
①取引手数料
VTIを購入する際に発生する手数料です。
証券会社によって異なりますが、一般的には株式取引と同様に手数料がかかる場合があります。
②管理費用
ETFの運用費用として、投資家から差し引かれる費用です。
VTIの場合、管理費用率は0.03%で、非常に低コストです。
③スプレッド
購入価格と売却価格の差額で、株式取引の際にも発生します。
ETFによって異なりますが、VTIの場合はスプレッドが非常に狭く、約0.01%程度です。
ポートフォリオ構築方法
投資期間やリスク許容度に合わせたポートフォリオ構築方法は、以下のようなポイントを考慮することが重要です。
投資期間
投資期間が長期的な場合、より高いリターンを狙える高リスク・高リターンの投資商品を選ぶことができます。
一方、短期的な場合は、リスクの低い商品を選ぶことが重要です。
リスク許容度
投資家のリスク許容度に応じて、ポートフォリオ内の商品の比率を調整することが必要です。
リスク許容度が高い場合は、リスクの高い商品を多く組み入れることができますが、逆にリスク許容度が低い場合は、リスクの低い商品を多く組み入れることが重要です。
分散投資
ポートフォリオ内に複数の商品を組み入れることで、リスクを分散することができます。
一般的には、株式、債券、不動産、コモディティなど、異なる商品に投資することが推奨されています。
リバランス
ポートフォリオ内の商品の比率が変化することがあります。
リバランスは、定期的にポートフォリオ内の商品の比率を調整することで、リスクを抑えたポートフォリオを維持することができます。
例えば、投資期間が長期的で、リスク許容度が高い場合は、VTIのような株式ETFを中心に組み入れたポートフォリオを構築することができます。
一方、投資期間が短期的で、リスク許容度が低い場合は、債券ETFを中心に組み入れたポートフォリオを構築することができます。
VTI投資の注意点
株式市場の変動リスク
VTIは株式市場全体に連動しているため、市場の変動により投資元本や収益が増減する可能性があります。
また、長期的な投資を前提としているため、中長期での投資を考えることが重要です。
投資目的やリスク許容度の確認
VTIを含むETFは、個人投資家がリスク分散のために利用することが多いため、投資目的やリスク許容度を確認しておく必要があります。
手数料や費用の確認
VTIを含むETFには、取引手数料や運用費用がかかるため、それらを確認しておく必要があります。
低コストのETFとして知られているVTIではありますが、手数料や費用の差によっては別のETFがお得になる場合もあります。
購入タイミングの注意
VTIを含むETFは、取引時間内であっても価格が変動するため、購入タイミングが重要になります。
また、市場の高値圏での購入は、将来的なリターンの低下を招く可能性があるため、市場の状況や投資目的に応じた購入タイミングを慎重に検討する必要があります。
以上が、VTI投資における注意点の一部です。投資に関する決定をする前には、投資目的やリスク許容度、そして注意点を十分に考慮することが重要です。
投資家の事例
VTIの投資家として有名なのは、厚切りジェイソン氏です。
彼はVTIを長期投資の一環として保有しています。
その理由は、上記の特徴を活かして、アメリカの株式市場全体に分散投資でき、低コストで長期的な保有に向いているという点にあります。
また、VTIは株式市場全体をカバーするETFであるため、市場全体の動きに比較的敏感に反応するため、市場全体の成長について期待することができます。
ジェイソン流 お金の増やし方 [ 厚切りジェイソン ]
VTIとVOOの違い
VTIとVOOは、どちらも米国株式市場全体に分散投資することができるETF(上場投資信託)ですが、若干異なる特徴があります。
まず、VTIは、米国株式市場に上場するすべての会社の株式に投資するETFであり、VOOは、S&P500指数に連動するETFです。
S&P500指数は、米国株式市場に上場する大型株500銘柄を対象にした指数であり、VOOは、この指数に連動することで、米国株式市場の大部分をカバーしています。
一般的に、VTIは、S&P500指数だけでなく、米国株式市場全体に分散投資することができるため、より幅広い投資先に分散投資することができます。
一方、VOOは、S&P500指数に連動するため、米国株式市場の主要な企業に重点を置いて投資することができます。
投資家の投資目的やリスク許容度によって、どちらがおすすめかは異なりますが、長期的な視野での分散投資を考える場合、VTIのような米国株式市場全体に分散投資するETFが適していると言えます。
一方、S&P500指数の成長を期待する投資家にとっては、VOOのようなS&P500指数に連動するETFが適しているかもしれません。
VTIでFIREできるのか?
VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)は、米国株式市場全体に分散投資することができるETFであり、長期的な投資に適しているとされています。
一方で、FIRE(Financial Independence Retire Early)とは、早期退職や経済的自由を目指すために、収入を増やすことや支出を抑えることなどを通じて、資産を増やすことを目指す考え方です。
つまり、VTIを投資対象とすること自体は、FIREを目指すための一つの手段となりえます。
しかし、FIREを達成するためには、VTIだけに頼るのではなく、資産の分散投資や収入増加、支出削減などを考慮する必要があります。
具体的には、長期的な資産形成を目指し、投資のプランニングや節約、資産の配分などを考えながら、FIREを目指すことが重要です。
まとめ
VTIの概要と、メリットデメリットについて解説しました。
VTI概要
VTIは米国の約4000社に投資できるETFです。
メリット
・ 分散投資が可能
・ 低コスト
・ 長期投資に向いている
・ 市場規模が大きい
デメリット
・ 米国市場単一への投資(米国経済への依存が強い)
・ 投資先を選択できない
・ 為替リスクがある
・ 配当金が少ない
VTI投資で一緒に資産形成頑張りましょう!
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